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DAY3:組織におけるDE&I推進プロセス〜withworkweek@国際女性デー カンファレンスレポート〜

はじめに

5日間のカンファレンスに際して

2022年3月7日~11日の5日間にわたってオンライン形式で開催されたDE&I推進カンファレンス「withworkweek @国際女性デー #キャリアとライフはトレードオフじゃない 」。10のテーマで行ったセッションにおける3日目の3月9日の昼に開催されたセッション内容をレポート形式でお届けします。

・ワーキングペアレンツがパフォーマンスを出す上でぶつかる壁
・組織におけるDE&I推進プロセスをどう考えるか
・陥りやすい課題はあるか
 etc.

「組織におけるDE&I推進プロセス」の回では、これらを主なセッション内容として3名の登壇者をお招きしてお話しました。ぜひご覧ください。

withworkweek@国際女性デーは「#キャリアとライフはトレードオフじゃない」を共通メッセージに、皆で社会的な発信を行うための場として開催されました。ワーキングペアレンツ向けの転職サービス 「withwork」 を運営するXTalent株式会社が、「WorkEx-働き⽅の健康診断」を展開する株式会社Enbirthと連携して企画・開催し、25社の調査協力のもと実現しています。

事前視聴申込数は800枠を超過し、計10時間、10のトークセッション、23名の登壇者とともに紡ぐ時間となりました。セッションテーマは国際女性デーに関連の深い「ジェンダーバイアス」だけでなく、広義に「DE&I(Diversity・Equity & Inclusion)」とし、「同質性」「ボードメンバーの育休取得経験」「仕事と育児」など、法改正等に紐づくテーマも並びました。

◆イベント詳細:https://withwork-week.peatix.com/

それでは、セッション時のトークに沿ってレポートします。


登壇者の紹介


XTalent筒井:
皆さん、こんにちは。お昼の時間にお集まりいただきまして、ありがとうございます。withworkweek DAY3のお昼のテーマは「組織におけるDE&I推進プロセス」です。今日は3人の登壇者をお招きしています。早速ですが、登壇者の皆さん、自己紹介をお願いいたします。

DROBE山敷さん:改めまして、DROBEの山敷と申します。DROBEを簡単に5分ほどで紹介させてください。AIとスタイリストが選んだ洋服がご自宅に届くというサービスを女性向けに展開している会社でして、まずサービスの概要からご説明します。スタイリスト付きのファッションECのようなものでして、最初に70問ほどのアンケートにお答えいただいた後に商品を5点選んで頂き、ご自宅にお届けします。そして気に入ったものだけをご購入、それ以外は返品頂いています。

発送頻度はお客様に合わせて2週間から3か月の中から選択いただけますので、ある種サブスクリプションのような形です。その上でスタイリング料として商品代金の他にスタイリング料金に2,900円をいただいているというサービスです。実際お届けしている商品がこの右側の写真のようなものでして、段ボールの中には5点ほどのアイテムが入っています。加えて、なぜあなたにこの商品を選んだのか、どうやってそれを着こなせばいいのか、ということをまとめたカルテをお送りしています。

これを運営しているのが、サービス名と同じ会社名で株式会社DROBEです。設立が2019年4月ですので、もうすぐ丸3年が経つところです。今回登壇いただいている会社さんの中では一番若い会社ですので、アーリーフェーズの視点から今日はお話しさせていただきます。現在は正社員26名中、女性が17名で、男性主体で始める会社もスタートアップに多い中で、DROBEは創業当初から女性が過半数かつワーキングペアレンツです。そして私自身もワーキングペアレンツで、今回のテーマには創業当初から馴染みのある会社です。

自己紹介を簡単にさせていただきますと、私は大学時代から事業の立ち上げをし、その後DeNAとコンサルティングファームのBCGを挟み、2019年からDROBEを設立、代表に就任しています。今2児の父で、3歳の娘と1歳の男の子がいます。DROBEとDE&Iという文脈では、特にこの共通メッセージ「#キャリアとライフはトレードオフじゃない」というメッセージに強い共感がありまして、我々の事業ドメインはファッションですので、ここは未だに働きづらさが存在しているという話がまだよく出てくる業界です。設立から3年経っていないのですが、創業当初からワーキングペアレンツが主体になっていて、1年目から1期目、2期目それぞれメンバーの産休・育休があり、メンバーの人数が限られている設立時から1年以上のメンバーの離脱を経験するということも経ています。なので、特にこのテーマは共感を持っていますし、推進に対して強く賛同しています。

DROBEが変えていきたいと思っている現場の話として、「アパレルで10年以上勤めたキャリアを結婚や出産で手放さないといけなくなって悔しかった」という話があります。ファッション業界では結婚・出産時の離職がとても多いです。恒常化する深夜までの対応、例えばセール前には品出しをしていかなきゃいけない、販売員ではなくスタイリストの方でも撮影があるとクライアントさんの事情もあるので結構深夜まで付き合わないといけない。なので、なかなか個人のプライベートとの両立が難しい。結果として独身者が多い職場になり、既婚者がどうしても肩身が狭くなってしまい離職する、ということがよく起こっています。そして、離れた人達の中でもファッション業界への未練を持っている方は多くて、「この業界ではもう働けないので、離れます」となるのですが、そう簡単に諦められるものではないんです。もともと学生の時からファッションが好きで、ファッションの学校に行ってファッションの会社に就職したけれども、すごく悔しい想いを持ってファッション業界を離れていく。子育てが落ち着いたら復帰という考えを持ちつつも、なかなか戻れない。これらのファッション業界の問題は、特にスタートアップである我々が現状を変えていきたいと強く思っています。

スタイリストは正社員の他に115名で、完全にフルリモートかつフレックスです。週ごとに働く時間を申告いただき、夜でも朝でもご自身のタイミングで働いていただく業務委託契約の形態をとっています。なので、結果としてスタイリストさんのバッググランドは多様です。元々芸能人や雑誌のスタイリングをされていたスタイリストの方もいらっしゃれば販売の方もいらっしゃいます。キャリアはあるがこの業界を一度は諦めて離れてしまった方々が我々のところに入って再スタートし、しっかり価値を提供しておられます。もちろん企業としてもとてもポジティブですし、働き方に1つ風穴を開けることができているのかなと思っています。今回、特にこの 「#キャリアとライフはトレードオフじゃない」というメッセージに沿わせて、ワーキングペアレンツが働く上でぶつかる壁に関してお話をさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

XTalent筒井:山敷さん、ありがとうございました。では、坂本さんお願いします。

マクアケ坂本さん:はい、ありがとうございます。マクアケの坂本です。株式会社マクアケで現在、執行役員 兼 品質保証本部長と人事本部を兼任しております。マクアケの以前にはIT関連企業、大手芸能プロダクション、2社ほど経験しているのですが、第1子出産後の2017年5月にマクアケに加わっています。今日は人事のお話が多いかなと思うのですけれども、2011年4月からは執行役員として、品質保証本部長と人事本部長を兼務し、人事業務、プロジェクト審査に関わる品質保証本部全般を統括しています。

マクアケは「アタラシイものや体験の応援購入サービス」を運営しています。企画者様がサイトにおいて企画中の新商品・サービスをプロジェクトページとしてマクアケに掲載していただき、一般ユーザー・サポーター様がそれを見て「いいな」と思ったら応援購入という形で購入いただく、というプラットフォームです。普通のECサイトと違ってこれから作るものが掲載されているサービスで、サポーターさんへ数か月後にそれが届くという点が一般のECサイトとの違いです。

マクアケは一貫したサポート体制を構築しています。これから作るものをプロデュースするサービス展開も行なっておりますし、「グロース」というマクアケを通してデビューしたものを広げていくことを事業としてサポートしています。またマクアケグローバルではマクアケを通じて日本で成功したものを海外のサポーターさんに購入いただくサービスも展開しています。

プロジェクトは多岐にわたっていまして、ガジェット、サービスを有形・無形問わず扱っています。マクアケはビジョン・ミッションをこちらに記載しているのですが「生まれるべきものが生まれ広がるべきものが広がり残るべきものが残る世界の実現」と掲げ、色んなところでビジョンを発信しています。サービスづくり・組織づくりにおいて一番重要視している上流の考え方です。また、マクアケスタンダードというカルチャー行動指針を言語化しています。現在180名ほどの組織なのですが、ビジョンやカルチャーの浸透はビジネス・サービスに対してだけでなく組織の中でも重要視しています。そして、マクアケは男女比半々で、私が加わった2017年くらいからずっと同じ比率です。管理職比率としては少し女性が多くなったり、少なくなったりという波はあれど、ほぼ50:50をキープしているという組織です。また、こちらは2021年9月期の決算資料なのですが、男性の育児休暇は55%。今もう少し伸びていますので、組織のダイバーシティは非常に進んでいると一般的にはみていただけると思っています。

さらに全体的にカルチャー推進を強化しています。ダイバーシティは、働く女性・男性問わず、全ての方が大事と思っておりますので、そういう意味でもボトムアップのカルチャーをとても大事にしています。多様な人材が活躍できる組織づくりの仕組み・仕掛けは今後も引き続き取り組みを強化したいと思っておりますので、この辺りもまたお話したいです。

最後にご紹介です。マクアケは自分たちでカルチャーを創っていく組織ですので、生まれた取り組みがグッドアクションアワードを受賞したり、会社としてトップダウンで命令するカルチャーというよりは本当にみんなが楽しんで取り組んだことが他方面で評価をいただくカルチャーがあります。私自身も子どもを持つ母ですが、制度をつくる人事としても今日は色々お話できたらと思っていて、楽しみにしています。どうぞよろしくお願いします。

XTalent筒井:坂本さん、ありがとうございました。では、ユニファの星さん、お願いします。

ユニファ星さん:はい、ありがとうございます。ユニファの星です。ユニファを一言で申し上げますと、いわゆる保育・子育て領域の社会課題という根深いものに向き合っている企業で、それらをテクノロジーの力を通じて解決することを目指しているChildcare-Tech領域のスタートアップです。私の自己紹介なのですが、元々バックグラウンドは投資銀行です。モルガン・スタンレーという投資銀行に入りまして、十数年東京、1年間ニューヨークで勤務してきました。その中でちょうどニューヨークに行った時に子どもを授かりまして、その瞬間からキャリアをより深く考えるようになりました。その前までは自分のキャリアを自分で創ることが非常に重要という、割と自分の視点が非常に強かったのですが、子どもが生まれた瞬間から、私の場合は娘なのですけれど「娘にとって誇れるキャリアは何なんだろう」という視点に変わりました。その視点から言うとアドバイザーという仕事は非常に魅力的ではあるのですが、自分がスタートアップのプレイヤー側に立って、より社会課題に向き合う方が娘に分かりやすく説明できる、娘にとって誇れる父親になれるんじゃないかなと思って、この会社に加わっております。

私たちの会社のご紹介として、事業の前提となる社会課題に簡単に触れます。女性の就業率はどんどん上がってきていて、今コロナ禍があって一時的に凹んでいますが、政府として82%ほどの目標を掲げている中で、当然ながら保育施設の利用率は上がってきています。足元が50%超えてきていますけれども、2013年には3割ほどしかなかったことを鑑みると衝撃的な数字です。この数字は今後もどんどん上がっていくと思っています。

そんな中で深刻な社会課題として、日経新聞等でよく出ているのでご存知かもしれませんが、保育士不足です。数字で見ると分かり易いですが保育士さんの有効求人倍率は東京で6倍、全国で3.9倍です。これはもちろんスポットで取っているので多少上下はするのですが、人が全然足りない状況です。潜在保育士の話題に触れると、保育士さんは一応資格を持っている士業ではあるのですが、その6割である100万人ほどは働いていないというのが現状です。子どもが好きで保育士さんになられる方が圧倒的に多い中で、残念ながら労働環境があまり適切ではない、好ましくないというところもあってなかなか人が戻れていない、というのが残念ながら日本の深刻な課題の1つです。

加えて今日のセッションにも繋がるところかもしれませんが、「女性活躍」という言葉自体は非常に浸透してきている一方で、数字で見ると日本はとても遅れているというのが現状です。左側のチャートが日本の未上場と上場企業、いわゆる全ての企業における管理職に占める女性の割合ですけれども、日本は13%ほどしかなくて、アメリカの3分の1以下なのです。加えて、マクアケさんは違うかもしれませんけれども、上場企業になると女性の管理職比率は一般的にまだ6%ほどで、それを2030年までに30%まで上げようと言っています。いわゆるキャリアとファミリーの両立を達成し得ないとこういう数字は達成できないのではないかなと思っています。

我々がどんなソリューションを提供しているか、というお話なのですが、大きく言えばいわゆるアナログな業務が保育施設は多く、子どもに向き合いたいのだけれど雑務や事務作業が多いというのが実情です。それをテクノロジーの力で機械にできるところは任せて、「子どもに触れ合う」という保育士さんが一番取り組みたいことに時間を使ってもらえるようなコンセプトのスマート保育園・スマート幼稚園・スマート子ども園の構想を進めています。

これによって保育士さんは自分が一番取り組みたい「子どもに触れ合う」ことに時間を割けることになるので当然ハッピーになりますし、保育士さんがハッピーになると子どももいっぱい遊んでもらえるのでハッピーになります。子どもがハッピーになれば我々、親の世代もハッピーになるので、三方よしの世界を目指したいです。実際にそういった側面でも定量的なデータを測定しています。ある園でのデータなのですが、サービス導入前と後では約65%の業務時間を削減できたという声を頂戴しています。それは一定このツールの効果があるのではないかなと思っています。実際、このカンファレンス開催前のプレセッションで、Enbirthの河合さんから私たちのサービスを使っていただいていたという言葉を頂戴していまして、我々としても非常に嬉しいです。ユニファ自体は、マクアケさん、DROBEさんに対してまだまだ知名度が低いかもしれませんが、直近は色んな賞をいただいて、徐々に認知度が上がってきています。

目指す姿としては、我々は社会課題解決型のスタートアップなので、社会課題解決および社会貢献と経済的リターンのバランスを取るということを1つの目標としています。今日のセッションテーマに沿わせると、我々もDE&Iが進んでいる会社です。おおよそのイメージとしては、男女比は約半々、女性のマネージャー比率も2-3割程度です。全体で200名前後の組織ですが、外国人の方もエンジニアを中心に非常に多く、10か国籍以上にもなります。また、育児休暇も昨年1年間だけで10名以上取得しており、そのうち半数が男性です。積極的に取り組みができている会社だと思います。今日また皆さんと色んなディスカッションができることを楽しみにしています。よろしくお願いいたします。

XTalent筒井:星さん、ありがとうございました。今回25社に調査を行っているのですけれども、その調査分析を担って頂いたEnbirthの河合さんから各社のデータを交えて説明をしていただけますでしょうか。河合さん、よろしくお願いします。

データでみるワーキングペアレンツの実情

Enbirth河合さん:皆さんこんにちは。Enbirthの河合と申します。今回、調査レポートを作成させていただいたのですけれども、非常に価値のある面白い分析になっています。本日は特に「ワーキングペアレンツがパフォーマンスを出す上でぶつかる壁」というテーマにおいて、データ上でも確かになという結果が出ています。その辺りを抜粋して紹介させていただきます。

まず、一番の壁は「物理的な時間のなさ」です。共働きとは切っても切り離せないこの家事・育児負担割合問題。夫婦間でどのように家事・育児を分担するか1,000人の方々に伺った結果、男性も女性も50%ずつ負担したいと言っています。しかし、これはあくまで理想値です。

一方で、現実の家事・育児分担比率はどうなのかというと、男性が0〜50%、女性が50〜100%なのです。女性側に負担が大きいという現状がみて取れます。特に興味深いのが育休取得前は昇進意欲があったが、育休復帰後に昇進意欲が下がってしまったという女性が実は13%いるのです。もともと昇進意欲があったが、下がってしまった彼女たちの家事育児負担比率は70%が最も多いです。未だに家庭内で女性がそれらを負担しているのです。であれば、女性は物理的な時間がなくなるので、昇進意欲も下がるだろうと理解できます。次に、これは物理的に時間がないとはいえ限られた時間内でもしっかりパフォーマンスを出せばいいじゃないかと言われる方もいらっしゃるかなと思うのですが、実は多くの企業で未だに長時間残業の方が評価されるということが今回のデータから判明しています。

これは「自分の働き方がもし○○だったら、もっと評価されるのにと思うことがあれば教えてください」という設問に対する回答結果です。「日常的に残業ができたらもっと評価されるのに」と思っている方の割合は、育児ケア責任がある方では37%にも上ります。

ポイントなのが、育児ケア責任のある方はそう思っているのだけれども、育児ケア責任のない非当事者は全くそこに自覚がないのです。いつでも残業できる立場の人からすると「別に長時間残業が評価の対象になるなんてそんなことないよ」という認識なのです。なので当事者と非当事者によって見える世界が違うというのは重要な点だと思います。

もう1つデータを見てみます。これは育児と仕事を両立するための制度があるだけではなく、どれだけ組織に浸透しているかを表しているグラフです。今は多くの企業が制度自体を充実させてきていますが、それは女性だけではなく男性も使いやすいのか、制度を使っても肩身の狭い思いをすることはないのか、制度を使っても評価や昇進に影響がないのか。こういった視点で深堀りしてみていくと、大きく凸凹があったり、上にいくほどピラミッド型になったり、という構図が出来上がるのです。

今回の調査結果でもそれらの項目が大きく凹んでおり、スコアが低いです。制度があるのだけれども男性は使いづらい、制度を使うと肩身が狭い思いをしてしまう、そして制度を使うと評価や昇進の足かせになってしまう。これが多くの企業の現状です。

さらに、ここでもやっぱりケア責任がある人とない人という差を見ていく必要があります。緑が育児中で当事者のスコアです。オレンジは育児中ではない非当事者のスコアです。ご覧いただくと分かる通り、緑の方が全項目でスコアが低くなっているのです。つまり、育児中の当事者は、制度を使うと評価や昇進が足かせになっていると感じている。でも、制度を使っていない非当事者からみると、そんなことないと捉えられている。ここで認識のギャップがある。つまり暗黙知の評価基準が存在しているのです。

こういった形で多くの会社で、当事者と非当事者間のギャップや、制度があっても本質的な運用がなされていない現状がある中で、今回登壇いただいてる皆さんの企業に関しても簡単な診断をさせていただきました。

株式会社DROBEの場合

こちらはDROBEさんの結果です。制度があるだけではなく本質的な運用がなされています。さっきと全然形が違うのがお分かりになるかと思います。しっかりと一人一人に合わせて運用がなされており、制度を使っている当事者の方が非当事者よりスコアが高いのです。つまり、制度活用の当事者にとってもしっかりと運用がなされている状態です。

株式会社マクアケの場合

次に、マクアケさんの結果を見てみます。こちらも、しっかりと制度があるだけではなく本質的な運用がなされていて、かつ制度を使用している当事者の方がいいスコアです。人数が増えても、これを維持できているというのは素晴らしいことなのではないかなと思います。

さて、次にワーキングペアレンツがパフォーマンスを発揮する上でぶつかってしまう壁として「期待値ギャップ」というものがあります。皆さんももしかしたら会社勤めをしてモヤモヤを感じることがあるかなと思うのですけれど、そのモヤモヤは一体何だと思いますか?自分が望んでいることと、現実とのギャップなのです。例えば、育休復帰後の人は「仕事が本質的に面白いこと」「強みを発揮できること」という、仕事の質を求めているのです。

一方で、緑が実際に満たされているものです。緑とオレンジのギャップはとても大きいです。育休復帰後は仕事の面白さを求めているのに満たされていないというのが多くの企業の現状で、ここに大きなギャップを感じてモヤモヤし、不安や不満が噴出し、組織課題につながります。

ユニファ株式会社の場合

これらが全体の結果で見えてきたのですが、今日登壇いただいているユニファさんの場合はギャップがほとんどないのです。「存在意義を感じられる」「自分の仕事が世の中の役に立っている」という、これらの本人期待値と会社から与えられる充足値がぴったり一致しています。

更に、裁量権もほとんどキャップはありません。さらに言うと「能力・強みを発揮できること」の項目が、本人の期待値以上に満たされています。一人ひとりがやりがいを持って働いていることが見て取れます。ユニファさんは一言では「強みを発揮しながら社会的意義を持って働ける職場」と表現できそうです。

本日ご登壇いただいている3社さん、素晴らしい組織運営をなされていると思うのですが、具体的にそれをどのように実現しているのか、この後お話を聞いてゆきます。私からは以上です。

XTalent筒井:河合さん、データのご紹介をありがとうございました。ここからセッションに移らせて頂きます。上原さん、よろしくお願いします。

ワーキングペアレンツがパフォーマンスを発揮する上でぶつかる壁

XTalent上原:はじめまして、XTalent株式会社・代表の上原と申します。本日はよろしくお願いします。今日のセッションに内容としても繋がるタイムリーな記事を先程見かけまして、触れさせてください。イギリスのエコノミストという雑誌で先進国29カ国を対象に女性の働きやすさを指標化したところ、先進国の中で日本がワースト2位。そのコメントとして女性が未だに家庭と仕事のどちらかを選ばなければならない、まさにトレードオフを強いられているというデータが出ているとのことでした。こういった現状は日本全体で頻発していて、それを今回ご登壇いただいている企業の皆さまのような方々が変えていこうとしているという文脈でお話を伺ってゆきます。

では最初のセッションです。今回の3社様は上場、未上場、様々なステージの違いがあると思うのですが、実際ワーキングペアレンツがパフォーマンスを発揮していこうとする上で、どんな壁にぶつかると思いますか。これは一般論や、現実だとこうですというお話など、様々あるかと思います。先ほど、坂本さんが育休からの復帰と合わせてマクアケさんにご入社されたという文脈がありましたが、当事者としてのお話を聞かせて頂けませんか。

マクアケ坂本さん:そうですね、ワーキングペアレンツがパフォーマンスを出す上でぶつかる壁は大きく3つかなと私は思っています。何がワーキングペアレンツとワーキングペアレンツじゃない方で違うかといわれると、圧倒的に「時間の制約の有無」だと思うのです。全ての話はこれにつながってきますね。もう1つが「アンコンシャスバイアス」です。「ワーキングペアレンツとは」という先入観に縛られてしまうことがあると思っています。3つ目は、「自分のモチベーションコントロール」です。そもそもみんな疲れてしまっていますので、その中でどうやってパフォーマンスを出すんだっけ、という時にパフォーマンスの源はモチベーションだと思うのです。コントロールモチベーションが自分の中から湧き上がってくるのも大事ですが、周りから影響を受けることで発生するものでもあるのです。その構造を理解し、どう向き合うかが大事です。

XTalent上原:時間の制約は自分も当事者として非常に感じるところですし、アンコンシャスバイアスは当事者にも企業にもあると思います。こちらユニファさん、星さんいかがでしょうか?

ユニファ星さん:まさに坂本さんに触れていただいたところが大きいと思います。それ以外だと2つあって、1つ目は「ワークスタイルの柔軟性」、2つ目は「評価制度」だと思っています。1点目でいうと、1日の時間は24時間しかないというのは全人類のフェアな状況だと思うのですが、その中でワーキングペアレンツ(私も含めて)に対して思うのは、子育てをしていると時間がないのと同時に柔軟性が求められるところがあります。「何時にどこに行かなくちゃいけない、病院にどうしても行かなくちゃいけない」といった時に、その柔軟性が確保されているかどうかは大切です。時間や場所の柔軟性があるかないかで働きやすさが変わる印象はありますね。私も証券会社から今スタートアップに来て思うのは、スタートアップは働き方の柔軟性の観点ではフェアですごく合理的なので、「別に席にいなくてもいいよ」というところも含めて、ワークスタイルの柔軟性は1つのポイントだと思います。

2点目はアンコンシャスバイアスに繋がりますけれども、「評価」です。労働時間で評価する考え方は多くの場合で間違っていると思います。そういう業務形態の方もいらっしゃると思うのですが、必ずしもそうじゃない方が本当は多くて、極端な話、1日3時間しか働かなくてもアウトプットが高い人と、8時間働いているけれどもアウトプットが低い人がいた場合に、それを労働時間で量ってしまったら8時間の人の方がいいよね、という着地になってしまうと思うのですが、アウトプットベースで評価する会社の評価システムやカルチャーが必要だと思いました。

XTalent上原:ありがとうございます。ここは凄く大事なポイントですね。ワークスタイルの変化として、今回3社ともリモートワークを柔軟に取り入れて働かれていると思うのですけれど、それによって朝から夕方・夜、オフィスにいる時間だけが仕事の時間ではなくなった、というのは凄く大きな変化ですよね。

「育休明けは時短」→「フルタイムで復帰」という発想の転換

今、視聴者の方から質問を頂いていますのでご紹介します。

- 視聴者からのご質問 1 -

育休復帰と合わせて入社できる会社はいいですね。友人の方で「育休明けだと採用してくれる会社がなかなかない」という不安があったらしいのですが、坂本さんがマクアケさんに入られた時って、当初時短勤務でスタートされていたのですか?

マクアケ坂本さん:実は、私は時短勤務をしていないのです。一般的な時短勤務は、条件が見合わない部分があると捉えています。自分自身の気持ちの部分でもあるのですが、私自身は時短復帰をしないという条件で考えていました。ただ、マクアケは時短で育休復帰をすることもできますし、育休明けの時短社員の採用実績もあります。私自身は人事1人目だったのでその課題感を強く感じていて、私自身がチャレンジして制度を創る側にまわりたいという想いもあったので、時短ではなくフルタイムで復帰しました

XTalent上原:ありがとうございます。実際今リモートワークやフレックスを活用した働き方ができるようになったことで、弊社でも、時短ではなくフルタイムで入社したいという転職希望者が今とても増えています。働き方が柔軟になると、「育休明けは時短」という従来の発想から「フルタイムで復帰」という発想に転換されていくのではないかなと思います。

リモートワークの副次的効果

では、次の話題です。以前、DROBEさんからはリモートワークによってワーキングペアレンツの壁を解消できたという話を伺ったことがありまして、山敷さん、その辺りの話をぜひお聞かせいただけますか。

DROBE山敷さん:まさにこの「壁」という話だと、「時間」「柔軟性」がとても大きいなと思っています。お迎えに行かないといけない、子どもが熱を出したから病院に行かないといけない、という話はどうしてもありますし、避けられません。私は、DROBEを創業した時リモートではなかったので、渋谷区恵比寿のオフィスから徒歩3分ぐらいの所に家を借りて住んでいました。コロナ禍で、今は遠いところに住んでいるのですが、結果的に時間に縛られなくなったことはとても大きいです。我々のスタイリストさんは元からフルリモートだったのですが、これをきっかけに全社でフルリモートを推進することができました。

また、パフォーマンスとは究極関係のない話ですが、「この方は子どもがいるから夜の飲み会に誘うのをやめよう」「仕事を軽減しよう」「自分の時間でコントロールできる仕事だけを采配しよう」といった形態になってしまうとそれが本人のキャッチアップを阻害してしまうんですよね。これもリモートワークにより柔軟性が上がったので、結果として解消していきました。我々は明示的にこれを解消しようと思って制度を創ったというよりは、フルリモートの推進により副次的に解消しつつあると感じています。

XTalent上原:なるほど、皆さん完璧ではないというのが大前提で、課題をどう捉えてどう変えていこうとしているのか、それに取り組んだ過去、そしてこれからをどう考えていらっしゃるのか、是非その辺りも伺いたいです。

DROBE山敷さん:我々はアーリーフェーズなので、制度や施策が充実しているかと言うとそうではないですね。立ち上げ期はすごくスクランブルな状態ではあったのですが、一期目から産休、育休を取得したメンバーがいたことに対して「そういうものだよね」という文化がいい意味で刷り込まれていきました。今は人数も増えてきている中で、働き方をもう少し明文化してポリシーを創ることを考えていますが、どういった当たり前が組織の中にあるのかを起点に動いていけるといいなと思っています。今まさに経営陣で議論しているのですが、制度だけ作ってもなかなか浸透しないよね、という話も出ています。この辺りは先行されているマクアケさん、ユニファさんがどのように浸透を進めていかれたのか是非勉強させていただきたいです。

XTalent上原:ありがとうございます。組織の拡大に応じて難易度が上がってきますよね。御二方にもお聞きしたいです。星さん、いかがでしょうか?

制度とカルチャーは両面重要

ユニファ星さん:我々は制度というハードの側面とカルチャーというソフトの側面、両面重要だと思っています、というのがショートアンサーです。制度面で言うと、特に弊社の場合は子育て世代が本当に多い、かつ保育関連の事業をしているという側面もあり、子の看護休暇という制度は法定の大体2倍くらい付与しています。有給休暇としては大体法定が5日くらいだと思うのですが、お子さんって小さければ小さいほど月に1回くらい何か病気や怪我をするのが普通ですよね。それだと5日は少ないよねという実感がありました。大体月に1回くらいそれらが起こることを加味すると、10日くらいあるとワーキングペアレンツにも十分配慮できるかなと思って、そういう制度を創っているのが1点目です。一方で、これは前職時代もそうだったのですが、福利厚生がすごく整っているから使われるかというと、また全然別の問題だと思います。カルチャーとして、困った時はお互い様という部分も含めて助け合いのカルチャーを重要視しています。それをマネジメントからも当然発信しますし、お互い何かあった時に「えっ?」とはならずに「是非そうしようよ」という言葉かけをしています。育休取得を申し訳なさそうに男性社員が申し出るケースも昔はあったのですが、勿論それは「取るべきだよ」という形でこちらから言うことも含めて、カルチャー面でみんなでDE&Iを進めていくことが大切だと思っています。マクアケさんは取り組まれている可能性があるのですが、我々は明文化ができていないのですよ、よく悪くも。自然に会社としてできているという部分もあるので、ふわっとみんなで共有しているところもあります。今後としてはやっぱりDE&Iを明文化してちゃんとそれを社内に発信していくことも必要になっていくかなと思っています。

XTalent上原:ありがとうございます。ソフトとハードどちらも大事で、制度を使うことに申し訳なさを感じさせないカルチャーを明文化して定着させていくこと、ここはまさにこれからですね。

ユニファ星さん:はい、前職は金融機関にいましたけれど「有休は使わないのが普通」というムードがありまして「5連続休暇取らなきゃいけないから取ります」という感じだったとですが、そういうカルチャーだとみんなそうなると思いますね。「ちゃんと取っていいんだ」「ファミリーとキャリアといを両立していいんだ」という雰囲気作りは非常に重要だと思っています。

XTalent上原:ありがとうございます。カルチャーという話を皆さん強調されていたと思うのですが、マクアケさんはまさにここを大事にされていらっしゃると思うので、是非どんな取り組みをされているのか伺いたいです。

思いやり文化の罠

マクアケ坂本さん:はい、ありがとうございます。そうですね、カルチャーに紐づく取り組みは色々やっています。カルチャーと制度、両軸で取り組むというのはそうなのですが、一点陥りやすく気を付けた方がいいことは、社員の仲が良さから形成される中で思いやり文化って生まれるんです。思いやりは凄くいいし、絶対ないよりはあった方がいいのですが、この思いやり文化に依存しないというのは結構肝かなと思っていまして、DE&Iの推進においては特にこの制度を創る上では後々響いてくる部分が結構あると思っています。思いやりってお互い様だったらいいと思うのですが、事実上、既婚・未婚・子無し・子有りなど様々なステータスがあるので、「やってあげた・配慮してあげている・配慮してあげていない」という事象があると、どうしても差を増幅させるんですよね。なので、いいなと思った文化は、早めに制度に昇華させていくことが大事だと思っています。

制度に落とす時にもできるだけ階段にスロープを付けるような制度ではなく、「配慮してあげる・配慮してもらっている」というのが分からないようなバリアフリーな制度に最初からしていくことが大事かなと思っていて、理想論ではあるのですが、ワーキングペアレンツが嬉しい制度というのは極力控えたいと思っています。ワーキングペアレンツ"も"嬉しい制度にしていくことで、うまくまとめていくことを意識しています。

そして、浸透という意味では人事部門とは別にカルチャー推進部門があって、ここが様々なものを拾って良いものを広めるということをやってくれています。「人事で制度を作りました、使ってね」というよりは、いろんな仕組みやカルチャーをカルチャー担当が広めてくれているので、バランスが取れていると思っています。

XTalent上原:なるほど、思いやり文化には罠があるということですね。今お話いただいたプロセスって、組織のフェーズにも関わる問題だと思うのですが、このカルチャー推進部はいつ頃置かれたのですか?

マクアケ坂本さん:これは、結構びっくりされるのですが50名ぐらいのタイミングでカルチャー推進担当を入れています。カルチャー推進を元々やっていた方をお招きしているのですが、総務、労務、人事がまだいない時に先にカルチャーのプロフェッショナルを取って早めからカルチャーを一緒に創っていくことを早めに意志決定して実践しています。結構リッチな人材配置だと思います。

XTalent上原:はい、本当にそうですね。ちなみにこの話、皆さん何か聞かれたいこともあるかなと思ったのですけれど、いかがでしょうか。

ユニファ星さん:組織へ投資をされていると思うのですけれども、そのカルチャー部門の方々は具体的なKPIや目標をどうやって設計していかれたのかなというのを参考にさせていただきたいです。今後我々も考える上で大事なことだなと思っています。

マクアケ坂本さん:ありがとうございます。実はこれはまだ模索結構している部分はあって、カチっとはしていないんです。以前は離職率をKPIにおこうか、という話をしたこともあったのですが難しさを感じていますね。カルチャーを絡めた人事課題・組織課題って、複合的だったり、立体的だったりすると思うので、カルチャー部門がどこをKPIに置くかというのは今もブラッシュアップをしているところではありますね。

ユニファ星さん:なるほど、まさに試行錯誤中ということですね。

マクアケ坂本さん:そうですね。

XTalent上原:山敷さん、何か聞かれたいことはありますか?

DROBE山敷さん:まさにこのカルチャー形成について、組織が50人というフェーズで「経営陣でやろうよ」「経営陣こそがそのカルチャーの発信者であるべき」といった議論が他のスタートアップでもされそうだなという気がしていて、それはプロフェッショナルを招聘して部門を置くことによるメリットもあると思うのですが、一方で仕事観が出てしまうというか、自然体じゃなくなるという議論もあるのかなと思うのですが、そのあたりマクアケさんはどのような意思決定をされたのか気になります。

マクアケ坂本さん:ありがとうございます。採用に関して初期フェーズはリファラルが強かったこともあって「本当にがちっとハマる人はお会いした時に採用しよう」という動きは結構強かったんです。要員計画を敷いている一方で、いい人がいたら採る、逆にいうとそういう人にお会いするまでは採らないという意志決定をしていました。カルチャー推進担当者の採用は少し早いかなという話も当時あがっていたのですが、お会いしたタイミングでみんなが「この人に今入ってもらったら、凄くいいんじゃないか」というイメージが湧いていたので、今ご入社いただこうという話になり、入社いただいて暫くはベンチャーのめちゃくちゃ忙しい中、リッチなポジションになるので総務業務を兼務してもらったりして、うまくバランスをとっていました。

XTalent上原:なるほど、とても勉強になります。ここで1つ質問をいただいています。

- 視聴者からのご質問 2-

設立40年の会社におりますが、超メンバーシップ体質で化石人材だらけになってしまっています。当時の思いやりが今害悪になっていて、属性による壁ができているっていうことなんでしょうね。そういったものとどう付き合っていったらいいのでしょうか?

これは多分色んな観点があると思うのですが、従業員としてどう振る舞うか、どうやったらそういう会社が変わっていくのか、皆さんの見解はありますか?

マクアケ坂本さん:私が思いやりの話を出したので私からお伝えします。当社はまだまだ若いフェーズなので、ダイバーシティの観点では年齢幅が狭く、20~30代に寄っている部分があります。思いやり文化の弊害って、仰っている通りアンマッチな方に対してどうしようということが出てくるので、これはレガシーな大企業さんほど向き合われている壁かなと思います。私たちも勉強したい部分ではあるのですが、ポリシーを創っておくのはひとつの解だと思っています。弊社の場合、人材のHRポリシーは実は去年の6月に創ったのですが、そこでどういう人を大事にしていくのか、どういう人を評価していくのか基準を明文化し、方向性を決め切りました

我々の場合、「組織のビジョン実現と個人の自己実現が限りなくニアリーイコールに近いところを目指していこうよ」ということを1つ決めたのです。そうすると、長く働いてほしいってことだよねという指標ができて、長く働いてほしいんだったら育成体制整えようよ、というように考え方の軸を決め切ってから対応を考えています。これから弊害が出てくるかもしれないですが、今現在としてはそこに向き合って進めていますね。

XTalent上原:なるほど、経営としてポリシーを定めてどう向き合っていくのかという観点ですね。ありがとうございます。あともう1つ質問いただいております。これは特にDROBEさんへの質問ですね。

- 視聴者からのご質問 3 -

規模の小さな会社で育休を取る人が出た場合、周りの人がカバーすることで生まれる負担の偏り、不公平感がないという状態にするためにどういうことに取り組んでおられますか?

DROBE山敷さん:これ、全くスマートじゃない回答になってしまうのですが、それこそ10人のフェーズで1人が産休・育休で1年抜けてしまうとなると当然、組織の負担は大きいです。その時に我々が結果的にどうなったかと言うと、「経営陣が背負う」という形になったというのが率直な答えです。実は一時期、プレスリリースを出すときに「広報担当・山敷」となっていたこともあります。もちろん、チームの中で分散できるところはしますし、システム投資のプライオリティをあげるという判断もあるのですが、創業期ベンチャーの10人中1人の分を、それだけで吸収できるかというとできない部分があるので、経営陣が一定吸収する。もちろんメンバーも吸収するのですが経営陣が主体的に吸収してきました。

XTalent上原:なるほど、どうしてもこれは従業員の中だけで偏ったりしがちだと思うので、経営として意志の込もったカバーの仕方ですね。ありがとうございます。視聴者の方から、最後の質問です。

- 視聴者からのご質問 4 -

育児への配慮は理解を得やすいが、障がい者の配慮がなかなか浸透しない。これはもしかしたら性的マイノリティなど色んなところに通じるかもしれませんが、こういったワーキングペアレンツ以外の観点で何か取り組まれていることはありますか?

働き方の包摂性

DROBE山敷さん:私、一言申し上げたいのですけれども、先ほど坂本さんが仰っていた「ワーキングペアレンツ、子育てをしている人だけを対象にしない」という観点を我々も制度・仕組みを作る時に強く意識しています。リモートワークひとつとっても、子育てで日中中抜けすることは仕方ないよねという話はあると思うのですが、極端な話、じゃあ美容院ってどうなんだっけ?という話ですね。子育てもベビーシッターを雇えば何とかなるよ、という見方がある中で、本当は休日に美容院に行けばいいけれど、平日の方が安い・予約が取りやすいということであれば、それって子育ての話と比べて何の差があるんだっけ?ということですね。障がい者の方の対応もしかりで、それは働き方として包摂していこうよと思っています。その中でなるべく具体例として「こういったものはいいよね」ということを例示して伝えていく、という考え方を持っています。

XTalent上原:ありがとうございます。このテーマであと数時間はお話できそうだなというくらい濃い時間だなと感じておりますが、お時間もいいところになってきました。

XTalent筒井:皆さん、興味深いセッションをありがとうございました。本日は参加いただきましてありがとうございました。

登壇者の皆さん:ありがとうございました!


集合写真

- 各登壇企業からのメッセージ動画 -


- 視聴者のみなさまの声-

組織の大小にかかわらず、ポリシーを明文化して、それを浸透させることの重要性を感じました。制度の浸透もそうですが、決めたことを浸透させる、カルチャーって本当に大切ですね。

先ほど質問しながら思い出しましたが、いくら多様性(ここでは「産休・育休を取る女性」の切り口とします)を「推進」しているといえど、経営者の立場からすると、時短でしか働けないやつを使わなければならないのは効率が悪いのだ、それをどうしたらいいのだ、と逆ギレされたことが…(飛騨内で中小企業を経営しているおじさんと議論をしていた時に。)根深い…  本当にこれからの課題なのかもしれませんが、一歩ずつ、「あたりまえ」にしていく例をもっと知りたいです。つまり、育休・時短勤務者の罪悪感問題と経営者には効率が悪い(あと残された人の負担)という考え方をどうするのか問題です。

「ワーキングペアレンツだけを対象にした制度にしない」という部分にとても興味を持ちました。私自身子なしなのですが、様々な話や制度を聞いていると子どもありき、子どもがいる人が優遇されるように感じることが少なからずあり、違和感を感じていたので、みなさんがそうならないように意識しているという部分を聞けてよかったです。

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