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1,085人が答えた転職動向調査のウラ側を代表に聞いてみた【withwork】

6月初旬、私たちワーキングペアレンツのためのハイクラス転職サービス『withwork』は、春以降に話題となっている“出社回帰”をテーマに、ワーキングペアレンツの転職動向調査2023を実施しました。

本記事では、実施に至るまでの背景と、調査実施中に起きた出来事、そして調査結果を見て感じたことを、withwork代表・上原( @tatsuya39 )が語ります。

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企業と個人の“言い分”を発信し、
すれ違いをなくすための調査だった

2022年秋ごろからwithworkのチーム内では“出社回帰”が度々話題に上がっていました。人材を採用する企業の皆さんもフルリモートを継続するのか、ハイブリッドにするとしたら出社は何日がいいか…と迷われていた時期です。

2023年に突入し、「現職がリモートワークを廃止するので、子育てと仕事の両立のため転職したい」ーーそんなユーザーさまの登録が目を引くようになりました。

企業と働く個人、それぞれの思惑を転職エージェントとして目の当たりにしたことが、今回の調査の発端となったと、上原は語ります。

「働き方に対する、企業側の声と個人側の声に“すれ違い”を感じていました。まず、企業の声としては、一般的には『やっぱり出社じゃないと駄目だ。人はサボる』や『リモートだと成果は出ない』という声がまだまだ強いですよね。また、リモートワークを希望する人に対して否定的な声もあったと思っています。それは、前提としてリモートワークだと、人はそんなに頑張らない、頑張ったとしても良いチームは作れない…そういった声もあると思います。

同じ経営者という立場から、私も、企業側の意見に対しては全面否定をするつもりはありません。一方で、個人の目線からすると、出社に戻すべきだという企業側、ひいてはその経営者の感覚と個人が感じているペインは、恐らくすごくギャップがあるはずなんですよね。」

自らもひとりの経営者として様々な企業、経営者と交流を持ちながら、ワーキングペアレンツとしての側面も持つ上原ならではの視点で、大きなギャップを言語化してくれました。

「例えば、東京に本社がある企業は、都心に住んでいる経営者も比較的多いと思います。移動はタクシーで、という人もいらっしゃいますし、別に夜遅く帰っても全然問題ないという人もたくさんいます。

でも、そういった境遇にある人たちの『出社で全然いいじゃん』という感覚とは異なり、当事者であるワーキングペアレンツの視点から見ると、頑張って成果を出して貢献したいんだけど、場所と時間の融通がきかないと難しい…と思ってしまう。出社したいんだよ…したいんだけど、毎日はできないんだよ…という声もあると思います。

お互いに見ている景色の違いを、ちゃんと認識して、このすれ違いをなくさないと、歩み寄りができないなと思うんですよね。」

有効求人数は、緊急事態宣言が発令された2020年は前年に比べ大幅に減少し、2022年にかけて復調の兆しを見せています。2023年4月の有効求人倍率は1.32倍となっており、売り手市場が到来しています。これから、ますます労働者優位になっていく社会の中で、優秀な人材を採用して定着してもらうことが、企業にとって非常に重要になります。

「このすれ違いって、誰も幸せにならないなと感じていました。社会としてより良い形を探していくために、これからの働き方に対する企業と個人それぞれの声を発信したいという気持ちで、この調査を始めました」

企業と個人を支援し、多様なリーダーを生み出すことを目指すwithworkだからこそ始まった調査だったと言えます。

リモートワークを求めるのは、
個人の都合だけではなく、社会のために。

本調査最後に「現在、「リモートワークを廃止 / 縮小」する企業が増える「出社回帰」現象が起きています。あなたのご意見を教えてください。」と質問をしました。出社回帰に対して、反対なのか賛成なのか、どちらでもないのか、そして自由記述でのご意見もたくさんいただきました。

それらの意見には、決して仕事で楽をしたいから、個人が良い思いをしたいからという気持ちで、リモートワークを求めているのではないことが分かる声が多数寄せられました。

「子育てと仕事を両立したいから、という思いはもちろんですが、企業内の多様性を推進したり、これからの社会の中で生き残っていくため、企業がより良くなるために、リモートワークをある程度取り入れて行った方がいいんじゃないか、というご意見が多かったですね。

これも先ほど話した“すれ違い”の1つとして、なかなか挙げられなかった声だったと思います。こういったご意見をいただいて良かったな、と感じています。

DEI(Diversity,  Equity,  Inclusion)を高めていくために、働き方の柔軟性は絶対に必要です。ただ、これはマイノリティの声になってしまうからこそ、かき消されてしまいやすい。なので、そういった声をしっかり集めて届けていきたいと思っています。」

今回は、ワーキングペアレンツの皆さんがメインの回答者でした。ですが、リモートワークは海外在住の方や、障がいや持病があって通勤が困難な方にとっても重要ですし、子どもが大きくなっても医療的ケアが必要だったり、介護などの事情で必要としている人もいます。様々な境遇にある人にキャリアの継続を実現するものであることを、リモートワークを取り入れる企業は認識しているのでしょう。

実は、今回の調査アンケートで、代表・上原が特にこだわった質問がありました。それは「出社頻度」に関する理想と許容範囲について回答を求めた質問です。

「仮説として、週3出社と週2出社の壁がものすごく高いと思っていたんですよね。実際に、withworkユーザーさんでも、週2出社までなら何とかなるけど、週3出社はきついという声が多くて。

一方で、企業側は週3出社を求める動きがやはり多い感覚がありました。ハイブリッドなんだけど、週3ぐらいは出社してもらおう、これがちょうどいい塩梅だろうと思っているかもしれない。ここがまさにお話をした“すれ違い”です。

歩み寄りとして、ハイブリッドワークにするなら、週2はマストにして、週3出社できる人はしてねという柔軟性をもう少し出すことができれば、実は景色がガラッと変わると思います。

転職エージェントをしていると、この小さな違いで採用候補者の応募意志が揺れ動くことがあります。週2出社なのか、週3出社なのかで、実は採用進捗が変わってくるかもしれない…そんなことを感じられるようなデータを提供したかったんです。」

週2出社以下を選んだ人のご意見には「週3出社以上になると、出社を前提とした組織運営になり、情報格差が生まれる」というものも。改めて週2と週3の壁の厚さを感じるデータとなりました。

また、調査結果をみて、さらに議論を深めたり、調査を改めて実施したいと思った観点もたくさんありました。

「調査結果をみて、マネージャーや経営層など役職がある人が出社を求める傾向があるように感じました。そういった方たちの中にも、リモートワークはあるべきだと答えている一方で、リモートワークが良い組織をつくる上で、弊害になりやすいという声もありました。この観点は、もう少し議論を深められるところだと思います。」

コロナ禍で各社手探りで取り入れたリモートワーク。その方法に絶対的な正解はなく、リモートワークという働き方に対する捉え方や、実際の運用には企業ごとに差があったことも分かりました。withworkを運営するXTalent株式会社は、全国からフルリモートで働くことができます。フルリモートで会社を運営する上原ならではの視点も話してくれました。

「リモートワークと言っても、会議などでは事務的なやりとりのみ、必要以上にコミュニケーションを取らないというリモートワークと、バーチャルオフィスを使ったり、何かしら偶発的なコミュニケーションが生まれるような仕組みを作った環境でのリモートワークは全然別物だと思います。ここが実はごっちゃになってしまっているので、また別の機会に議論したいことだと思っています。」

出社の機会は、リモートワークが苦手な人にとっても必要だ、というご意見もあり、多様性の観点でも大きな気づきでした。リモートワークの捉え方は、企業・個人の環境によって違いが現れるということを、もう一歩深めた発信も今後していきたいと思いました。

集まったのは1,000人超の声
この葛藤を社会に届ける重要性を実感した

本調査は、インパクトのある声にしたいと考え、withworkユーザーさんはもちろんのこと、XTalentメンバーで力を合わせて拡散し、スタートしました。
当初、500名の回答を目指そうと社内で決めていたものの、調査アンケートを公開して1日経たずに100名の回答が集まり、勢いは止まらず、最終的には1,086名の方にお答えいただきました。改めて答えてくださった皆さんへの想いを上原が語りました。

「回答者数をみて、感じることがめちゃくちゃありますよね。お会いしたことがある方も、まだお会いしたことがない方も、たくさんの方に『これ、シェアします!』と言っていただいて…。改めて、みんな発したい声だったんだな、というのがすごく伝わってきました。社内でも話していましたけど、本当に“元気玉”を作ってるような気分でしたね。」

調査項目も社内で議論を重ねて作っていった本調査。忙しい中、自由記述にもたくさんご意見を書いていただきました。

「普通のアンケートって、必要項目だけ書いて終わりがほとんどだと思うんです。こんなたくさんの声が集まるのを見たことがない。やはり1つ1つの声がすごく大きくて、胸を打つものでした。

自分のキャリアとライフの中で、最善を見出そうとしている。様々な制約がある中でも、やっぱり仕事でも貢献したり、成長したり、成果を出していきたい。そんな葛藤が見えてくるような内容でした。

だからこそ、この人たちの力がちゃんと発揮されている状態を、社会全体で作っていくということは本当に必要だと思うんですよね。」

ワーキングマザー(ワーママ)だけでなく、男性の声も多く集まりました。「子どもの送り迎えを妻と分担しているが、自分ができるだけ多く担当したい。そのためにはリモートワークが必要。」ーーこのように子育てに積極的に参加し、仕事でも責任あるポジションで活躍している男性の声は、とても考えさせられるものがありました。

「働き方の変化を機に、夫婦の中での平等というものを考え始めた家族は、すごく多いと思うんですよね。もう、“子どものいる女性”だけの問題ではなくなってきたということが、大きな意味を持つなと思っています。労働人口の中で30代中盤から40代中盤までの労働力は、企業や組織の経営を左右する、とても重要な要素だと考えています。その中のかなり高い比率が、こうして力を発揮しきれなくなってしまっていることの意味は、本当に考えないといけないと思いますね。」

子育てと仕事を両立しようと思うと、「通勤時間がもったいない」「体力が持たない」という観点からも、毎日出社は難しいというご意見もたくさんいただきました。

「企業として成長していく、業績を上げるという至上命題はもちろんあるけれど、そのためには個人の豊かな働き方や生き方を内包することができていないと、企業としても成長できなくなるーーこのパラダイムシフトが明らかに起きていると思います。ここをいかに対立構造じゃなく、お互いにとってより良い形を築けるようにしていけるかが大切ではないでしょうか。

そして、それを大切にできる企業が成長していける例をどんどん示していかない、そういった転換期だと思いますね。私たちwithworkも、そういった事例を作っていくことを目指して頑張っていきたいです。」

調査アンケートに答えてくださった方の中には、リモートワークのおかげで作業効率が良くなった、売上が上がったという方もいた一方で、作業効率が悪いと分かった、自分にとっては出社自体が「仕事」の一部だと気づいたという声もありました。働き方の変化が経済成長にどう上手く繋がっていくのか、それが証明されていくーーそんな岐路に立っているのかもしれません。

誰にとっても幸せな形をめざして
この声を発信していきたい

最後に調査にご協力いただいた皆さんへ、上原からメッセージを送ります。

「今回は、調査にご協力いただき、本当にありがとうございました!感謝の気持ちとともに、力を貸していただいたと感じているので、社会に対してこの声を発信していければと思っています。コロナ禍で生まれた働き方の変化を、極端に揺り戻すのではなく、誰にとっても幸せな良い形となるような社会にしていきたいなと思います。」

調査レポート第1弾は、30〜40代の子育て中の男女でリーダー層以上のポジションでご活躍中の方のご意見に絞って、データを分析しました。企業にとって中核を担う彼らの意見を、企業の意思決定に役立てて欲しい、そんな想いで第1弾を制作しました。ぜひお読みください。

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本インタビューはポッドキャストでも配信しています。noteではカットされてしまった雑談などもありますので、ぜひこちらもご視聴くださいね!

[インタビュー・文] 栗林 杏子 [写真] 森田 純典


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